猫の傷の治療

うちには、脚としっぽのない猫がいます。交通事故で失ってしまった猫を譲り受けて、一緒に生活をしています。
当初、特にしっぽがちぎれたところの部分の傷口に感染を起こしてしまい、なかなか治らない状態でした。人間の看護を教える仕事をしていたため、創傷ケアについての知識があったので、その知識をもとに、人間もねこもそう変わらないだろう、と考え、本をみながら、人間の創傷ケアで使うものをフルに活用して、懸命に治療をしました。もちろん、獣医さんについていってもよいのですが、基本的には、こういったことは変わらないだろうという確信があったので、自分で治療をしました。

膿が山のように出ていたので、毎日、とれたしっぽの跡を流水で洗浄し、その後、創傷ケアを行うのですが、どうもそれは猫にとって死ぬほど痛いことだったようです。後で知りましたが、猫のしっぽは大変敏感な部分らしく、それがとれた部分も当然敏感であったはず。その部分の膿を洗い流していたのですから、痛かったことでしょう。人間では、こういった処置をするときには、予め鎮痛剤を投与してから行うのですけど、猫にそのようなものを使うことなくしていましたから。

それ以来、その子は、とにかく水が恐ろしくなってしまいました。洗浄をしていた場所の近くに、連れて行っただけで、どこから出てくるんだろうと思うような声で鳴き始めます。普段はとてもおとなしい、穏やかな猫なのに、です。かわいそうなことをした、と反省しきりです。それでも、懸命な治療をした結果、感染症で命を落とすことなく、無事にしっぽの傷も治ってくれて、本当に安堵しています。