スペアキーなんて、届けるんじゃなかった

娘が一人暮らしを始めて1ヶ月ほどが経った時、
娘、「アパートのカギを失くしちゃった」
妻、「良く探して見なさい」
娘、「探したけど見付からないの」
妻、「大学は見に行った?」
娘、「行ったわよ」
私が車のカギを取ると
妻、「行くの?」
私、「仕方がないだろ」
妻、「だったら、私も乗せてって」
私が娘のところへ行くのは、スペアキーを届けるためだけでなく、一人娘に会いたいから。
家を出る時は火の元は確認するのだが、戸締まりは意識しない、なぜなら、田舎だと鍵をかう習慣がないから。
鍵を掛けるのは、長期間留守にする時だけ。この時も防犯目的で鍵を掛けるのではなく、宅配業者が生モノを置いていかないようにするため。
自宅から娘が住むアパートまでは車で2時間、久しぶりに娘に会えると思うと全然苦ではない。
アパートに到着すると、娘はいない。
私、「電話をしてごらん」
妻、「貴方が電話をすれば」
普段だと私からの電話は出てくれない娘だが、スペアキーを持って来てもらう後ろめたい気持ちからか、私の電話に出た。
私、「今、どこにいるの?」
娘、「スグ行く?」
私、「どれくらい掛かるの?」
娘、「スグ行くって」
娘は本当にスグに来た、なぜなら、娘がいたのは、娘が借りている部屋の隣の部屋だったから。
隣の部屋の表札には男の名前、どういうことだろう?と思っていると、隣の部屋から頭の悪そうな男の子が出て来た。
頭の悪そうな男の子、「はじめまして、娘さんとお付き合いをさせてもらっている〇〇です」
私、「・・・(お付き合いをしてるだと!)・・・」
帰りの2時間はメッチャ苦痛だった。
娘は一人暮らしを始めて、たった1ヶ月だよ、それなのに彼氏が出来た?ふざけるな!
二度とスペアキーは届けない。今度、鍵を失くしたら、アパートは解約だ!