開かずの鍵

私が以前勤めていた職場での話です。 そこは古い学校だったのでそこの鍵の多くは閂のようになっている、久しく見ないタイプの鍵でした。 上手くドアを閉めないと、まず閂が刺さらず、鍵を閉めることができません。 ですから、急いでいる時などに施錠する羽目になるとそのたびにいらいらしていました。 その日も、会議室で仕事をするために私は部屋の鍵を持ち出して開け、作業をしていました。 その仕事に切りが付き、そろそろ切り上げようと片付けをして、部屋を施錠しようとします。 すると、閂がうまく刺さらないないのです。何度もドアをスライドさせて、無理矢理施錠をしようとしました。 しかし、閂がちゃんと刺さったように見えても、肝心の鍵が回らないのです。 これ以上やると、鍵が折れてしまいそうで怖くなった私は、他の職員に助けを求めに行きました。 何人かで集まって、ドアをスライドさせたり抑えたりしながら閂を差しましたが、やはり鍵はかかりません。 最終、私たちはドアを取り外すことにしました。 ドアを取り外して、サッシを掃除し、何なら油もさして、またドアを取り付けました。 すると、ドアは滑らかにスライドするようになりました。もしかしたら今度こそ施錠できるかもしれない。 そう思って恐る恐る閂を刺すと、先ほどまでとは全く違った手ごたえです。 無事閂がはまり鍵も滑らかに回りました。 一同一安心。私は心から手伝ってくれた皆さんに感謝しました。 この経験を経て、今はもう令和であり、わざわざあんな古臭い鍵を使う必要はないのではないかと改めて感じました。 今はカードキーなども簡単に作れると思いますし、それでは確かに古い学校にはそぐわないのかもしれませんが、せめてあの閂はやめてほしいと思いました。 今でも全国の古い学校のいくつかには、あのタイプの鍵が残っています。タブレット端末の導入よりも、鍵の交換を先にしてほしいです。